【本の紹介】「透析を止めた日」~胸をえぐられた壮絶な時間の記録~
著者はノンフィクション作家の堀川惠子氏
お名前は拝見したことがあるのですが、著作を読んだのは初めてでした。
夫であるNHKディレクターの林新氏はハードな仕事をこなしながら長年透析を受けていました。堀川氏と結婚後、林氏は徐々に様態が悪化し、過酷な治療の続く日々でその闘病生活を堀川氏が全身全霊で支えます。第一部は詳細な治療内容と日々の介護の様子が綴られています。
緻密な文章の中に零れだすやり場のない感情が伝わってきて、それはもう、読んでいる者の心に重く響きます。そして「どうにかならないのか・・・」と声をあげたい衝動に駆られました。
60歳という若さで林氏は亡くなってしまうのですが、その後、著者は日本の透析治療をノンフィクション作家の視点で切り込んでいきます。
最愛の人の命を支えてきた「透析」は多くの課題を抱えていることが自らの体験であぶり出され、堀川氏はこれからの透析治療について改善を強く求めています。
感情に訴える筆致ではないのに、どうしてこんなに心が揺さぶられるのでしょうか。
透析治療の壮絶さ、緩和ケアのない終末期の苦悩と苦痛は想像を絶していました。
自分の知らない世界を届けてもらった貴重な一冊 ありがとうございました。

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