川柳
【川柳】地球儀を回す ナポレオンの指で
小さい頃から地図や時刻表を見て妄想するのが大好きでした。
両親共働きの鍵っ子。お金にゆとりのない生活は子どもながらよくわかっていて、遠い所への旅行なんて夢のまた夢でした。
そんな事情があって、紙の上で自由にできる旅を楽しむ癖がついたのかなと大人になって気づきました。
小学校か中学校かは定かでないのですが、地球儀を作る授業がありました。球体に地球を16分割くらいした紙をはさみで切って貼っていくのですが、不器用な私はうまく貼れずにシワシワの地球が出来上がり。
なんとも不細工な地球儀でしたが自分は大満足。
「アメリカはこんなに遠いんだ。飛行機で何時間ぐらいかな?」
「ソ連のこのあたりって人が住めるのかな・・」
「ブラジルは本当に日本の裏側だ」
何時間でもその地球儀を回しながら眺めることができたのでした。
その頃、未来には何の制限もなくどこまでも行ってみようと思っていたことをふと思い出しました。
『地球儀を回す ナポレオンの指で』
桂 晶月
川柳文学コロキュウム86号 課題吟「遠い」軸吟
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