本の紹介
【今宵の一冊】俵 万智「あなたと読む恋の歌 百首」~過去を紡いで未来を泳ぐ~
タイトルはどうして「あなたと読む」なんだろう。
恋人同士で呼んでねの「あなた」なのかな。と思ったけれど、
このあなたは著者の俵万智さんが読者に呼び掛けている「あなた」
一緒に短歌を、31音を感じましょうって。
各首に万智さんの感性溢れる鑑賞文 歌だけでも心に染み入るのに万智さんの言葉は歌を立体的に組み立てていきます。
「指からめあふとき風の峪は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ」 大辻隆弘
「たとへば君 ガサッと落ち葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか」 河野裕子
本を閉じてもぐるぐる自分を巡っている二首です。
言葉は少ない方が余韻が残ります。
この本には短歌の31音でないと詠めない伝えられない100通りの恋が収められています。
終わった恋に「もしも」「やっぱり」「でも」を重ねてみるもよし。もしかしたらの恋に「できれば」「きっと」「ほんとうに」を加えるもよし。
秋の夜に何度も読み返したくなる一冊です。
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-俵万智, 恋歌, 短歌