【本の紹介】「蛍たちの祈り」~生きる、なぜ?だから・・のループを今も遊泳中~
淡々と進む文章の中に、ものすごい惨いこと許されないことが潜んでいて、何度も「どうしてそうなるの?」と叫んでしまいそうでした。だけど、すべてに意味があると、読み進める中で蛍の光に導かれるように見えてきます。浮かび上がるものは読者ごとに多分違うと思います。
各章での主人公は年齢も性別も背負っているものも様々。その主人公たちが時が進む中で、それぞれが縦糸になり横糸になり美しい織物が出来上がってゆく、そんな感覚でどんどん読み進められました。
なぜ生まれる、なぜ死んでゆく、正解はないけれど「これでいい」「よかったんだ」と思いたい。私が生を受けて時の中にいるってなんだろう。一人では生きられなくて、生かされていて、だから、誰の何を祈る?今まで何度もぶつかった問いに改めて向かいあえる一冊でした。ありがとう。
町田そのこさんの小説は「静」だといつも思うのです。その静かさがあるからこそ、より浮かび上がる「動」があります。それがとても美しく響きます。秋の夜長にあったかい飲み物と一緒にぜひ。

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