【本の紹介】波打ち際でいつまでも目を閉じていたい「タイム・アフター・タイム」 吉田修一著
いわた書店さんの「一万円選書」で送られてきた本の中にあった「横道世之介」
これが吉田修一さんの本を読んだ最初でした。
有名な作家さん そして猫好き ということは知っていたのですが、作品を読むには至ってなくて。だけど、私のために選んでくださった一冊ならと読み始めて、すっかり世之介ファンになってしましました。そして、世之介シリーズを続けて読み、その他の著書もほとんど読みました。怒り、悪人、国宝 映画も見ました。
吉田さんの作品の主人公は、みんな健気で正直。 正直すぎるくらい正直。全身が「心」でできているのではないかと思うくらいです。損得で動いてしまったり、姑息なことも考えてしまう私にとって、憧れ、羨望、嫉妬が入り混じります。
今日読み終えた新作「タイム・アフター・タイム」 途中、主人公の尾崎くんが「世之介」と何度もリンクしました。
やはり、目が離せないのです。
いつしか尾崎くんはもちろん、全ての登場人物の応援団となって、自分もどこかに参加しているような感覚に。
336ページの最後、20ページはもう純粋さに胸が締めつけられて苦しくなるくらいです。この本の装丁の「青」はこれを伝えたかったんだと納得です。
毎晩、眠くなるまで読んで10日間。厚さ5センチもある本のページを少しずつめくって、読み進んだ実感を味わえるのは紙の本ならでは。沖縄の海、波の音、神々しい空、二人の笑い声、見守る人たちの大らかさ、忘れていた「まっすぐさ」を届けてもらえました。
続編、自分の中であれこれ想像して。それもまた、うれしい余韻です。
余談ですが「タイム・アフター・タイム」はシンディー・ローパーのヒット曲 私が下宿を始めた頃、よく聴いた曲で、あの頃のあれこれを思い出し、重ねている瞬間もありました。
振り返る時間があるのは、今があるから。当たり前すぎる中に優しい灯りが見えるのです。
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